台風5号の直撃!・・・は免れましたが、昨夜はひどい風と雨にまんじりともしませんでした。
とは言っても、横になったらバタンキュ・・・。夢うつつの中で激しい風音を聞いていたに過ぎないのですが・・・。
ミシシッピー架橋の崩落はショックでした。かつてボクが35年前、従事していた研究室の主なテーマが、鉄骨構造物の溶接性と強度と靭性。当時既に普通の鋼の2倍の強度を持つ高張力鋼が開発され、普及していたのですが、意外なもろさが明らかとなって、密かに産官学の共同研究でその原因と対策づくりが急がれていた時だったのです。
意外なもろさが明らかとなった事件は、今はもう知る人は少なくなってしまったと思いますが、ある年の2月、紀州沖を順調に航行していた巨大タンカーが、大きな横波を受けた途端、船が真っ二つに折れてあっという間に沈没してしまったのです。
設計にミスはなく、使用された高張力鋼板の強度も十分。施工にも問題はなく原因究明のためのプロジェクトがいくつも立ち上がりました。
そして判ったことは、強度と靭性に全く問題がない鋼材も、溶接部分だけは再溶融冷却されるため、気温低下に伴う靭性劣化が極めて大きいものだったのです。15℃から25℃では、非常に強靱な鋼が5℃以下になると、信じられないぐらいあっけなくもろく飛び散ってしまいます。
そこで、溶接部分も強靱さを失わない高張力鋼の研究開発が急がれ、ボクも研究成果を“鉄と鋼”学会の機関誌に載せて貰ったことも懐かしい思い出です。
結論的に言えば、高度成長期の1960年代の鋼材は、開発テンポの速さに比して“検証”がついて行けなかった時代といえるかも知れません。
1960年代に突貫工事で建造された、鉄骨構造物は速やかなメンテナンスが必要かも知れませんね。
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