ボクも元来血気にはやる方で、運転もかつては歳をわきまえず、高速道路でも抜く車はあっても抜かれる車はほとんどないという状況でした。店の前は国道といっても片側1車線の歩道のない様な狭い道路ですが、深夜に100キロで飛ばしてみたり、暴走族とやり合って因縁を付けられかけたりと、今思えば無茶をしていたものです。
でも、酒気帯びで何度か捕まったり、ねずみ取りに引っかかったりばかりでなく、今から十二?三年前、たまたま軽四で出かけた先で歓待され、お酒が入ったので少しさましているうち深夜になり、上述の国道を周章てて帰宅中、思いもかけず横から飛び出しがあり、思わず急ブレーキ。
瞬間、軽四は宙を飛んだのです。スローモーションのように激しく道路脇の鉄柱に激突。軽四は大破。当時の軽四にエアーバッグはついておらず、額を思いっ切りハンドルにぶつけ、かけていためがねは飛び散り、鼻血が激しく吹き出します。
不思議にどこも痛くないので、自分ではただ鼻を打っただけだと思っていたら、次第に集まってきた野次馬が
『あんた、そんなに怪我していて大丈夫か?』
手を顔にやって、愕然・・・。鼻がないのです。ハンドルに激しく鼻をぶつけた時、眉間から鼻の下までが真っ二つに裂けていたのです。ほどなくやってきた救急車が、救急病院に無線で呼びかけてもベッドが空いていないとたらい回し。
たまたま近くの民間病院に宿直医師がおられ、受け入れて緊急手術。
『何でもいいから、本の顔に戻して下さいね。』
と、本気で言ったら、
『そんな余裕を言っている場合か?』
と、こっぴどく叱られました。
後で判ったのですが、その時の手術を行った医者が、中国地方でも指折りの形成外科医で、近くの国立病院の形成外科部長が、たまたま民間病院でのよくあるアルバイト宿直をしていた夜だったのです。翌朝、そこの院長が縫合痕を見て、
『さすがみごとなものだな?。君は余程運のいい男だな。』
と、感嘆していったのですが、その時はもうフランケンシュタイン状態。
入院を勧められたけど、仕事の関係で通院に。珍しいものを見るように、待合室で子供達が顔をのぞき込まれ、すっかり思い知りました。
あとから保険処理をしてくれた人が、
『不思議に今まで何人も同じ鉄柱にぶつかったけど、生きているのはあんただけだ。』
ドイツの速度無制限という、フリーウェイに憧れたボクがそれからはもう安全運転。
車間距離も充分取って、ストレスを少なく乗るようにしています。
みなさーん。飲酒運転とスピード違反絶対厳禁ですよ。