『あなたが、あの時の友彦君なの?』
堤友彦君のコンサートが、教育機関をはじめ、いろいろなグループから開かれ始めた頃の話です。
福山市駅家町のある公民館で、司会者が堤友彦君の経歴を紹介し始めた途端、会場にいた品の良い老婦人が突然壇上に駆け上がり、友彦君に抱きついて叫んだのです。
そして司会をさておいて、それから彼女が話し始めた話によると、
約20余年前、友彦君が救急車で運び込まれた時、彼女が寺岡記念病院の脳外科婦長をしており、その時の状況は、まさに絶望的であった事。
緊急大手術で、一命は取り留めたものの、意識回復やその後の成長はとても想像できる状況ではなかった事。
一応退院していく時、見送りながら、その後の堤家族の悲惨な人生を考えて、胸が痛んだ事。
等々、飛び入りで夢中で話されたのです。
会場内は感動の渦に包まれ、その後の演奏が爆発的に盛り上がった事はいうまでもありません。
堤友彦君の生きる姿そのものが、我々にとっても限りない勇気と希望を与えてくれるのかも。